第1回対象事業

 外国にルーツをもつ子ども達が、高等学校進学を目標に特定非営利活動法人 多文化共生センター東京のフリースクールに通い、この春、高等学校に進学しました。

 多文化フリースクールに通う子ども達は、自分の意思とは関係なく来日し、高等学校進学に向け、日本語と教科学習を短期間に習得し、受験・入学を果たしました。

 フリースクールに通う子ども達は、母国で既に中学校を卒業しているため日本の中学校に通えない子、家計を支えるため働きながらフリースクールに通う子など様々です。特にここ数年、親の収入が減収し、フリースクールの授業料を負担できない子ども達が増加しています。このような子ども達は、多文化共生センター東京の一定の審査のもと、授業料の減額措置を受けたり、東京都の受験生チャレンジ支援貸付事業の適用を受け勉学に励んできました。

 第1回 栖原曉・外国籍住民支援基金は、経済的支援を受けながら、この春高等学校進学を果たした多文化フリースクールの子ども達に対し、進学を祝し、これからの学校生活が楽しいものになることを期待し、入学祝い金を支給することを決定しました。

 多文化共生センター東京の代表 王慧槿氏と栖原曉氏とは生前交流があり、栖原曉氏はフリースクールをはじめとする団体の活動を高く評価していました。経済的に厳しい状況にありながらも、ここで学び入学を果たした子ども達に対して支給する入学祝い金は、本基金の事業対象として有効であると判断しました。

  2013.5

栖原曉基金実行委員会

2013.5.19 東京大学国際センターにて授与式

 授与対象となった高校生をはじめ、多文化共生センター東京のスタッフの皆さんなど、関係者の皆さんに参加いただき入学祝金の授与式を行いました。

 対象者9人の高校生から作文が披露され、故栖原曉さんのご遺族に手渡されました。

 高校生の皆さん、学校生活を謳歌し、夢の実現に向けて頑張ってください。

 

 ◆ 当日、披露された作文2作を掲載します。

  Aさん  

 一年前、私は中国から日本に来ました。その時は日本語ができませんでしたし、友だちもいなくて、いつも国に帰りたいと思っていました。その後「たぶんかフリースクール」で授業を受けることになり、友だちがたくさんできました。わたしは日本での生活が楽しいと感じるようになりました。そして先生方のご協力で、高校に合格することができました。先生方本当にありがとうございます。高校の生活はとても楽しいです。この高校生活を大切にします。

 また、「栖原曉・外国籍住民支援基金」のお話を聞きました。すはら先生が高校に入学した私たちを支援してくれたこと。お亡くなりになったことを聞きました。とても悲しい。わたしはこれからも本をたくさん読んで、先生に恩返ししたいと思っています。ありがとうございました。

 Bさん  

   日本に来て

 私は去年8月に日本に来ました。最初は日本語が全くできませんでした。電車に乗るときも、買い物するときも、日本語ができなくてとても困っていました。それから、文京区の方から多文化共生センター東京というところを教えてもらいました。本当にうれしかったです。はじめて行ったときは日本語ができなくて、話が通じるかどうか心配でした。ですが、○○先生から中国語で話しかけてくれたとき、びっくりしました。しかも、とても上手です。父親の収入が少なく、私も日本語ができませんので、仕事をしていません。日本に来たばかりで、日常の支出が多いです。経済的にはちょっと厳しいです。学費が高くて、払えないことが心配でした。このことは○○先生に話しました。そして、○○先生から経済的に厳しい家庭でしたら、学費を減額することができることを教えてもらいました。

 それを聞いて、私にとってもっとも困っていることが解決しました。頑張って日本語を勉強することを決めました。

 それから、私は○○先生、○○先生、○○先生等と一緒に勉強しました。先生方がとっても親切で、授業もとても面白くて、日本語がだんだん上手になりました。クラスメートと一緒におもしろいことがいっぱい体験することもできました。そして、高校受験を迎えることになりました。国際高校を受けると最初からきめていましたので、そのため一生懸命準備しました。それに、○○先生、○○先生や土曜日のボランティアの方々も一緒に作文や面接の練習に付き合ってくれました。

 国際高校に入れたのは、先生方の助けと、多文化共生センター東京のサポートがあったからと思います。今高校生になった私は、日本語がまだ不十分ですが、先生方がしてくれたことを忘れません。高校頑張ります。

 

---授与式参加者---  

授与対象者 7名(2名は所用により欠席)

故栖原曉さんのご遺族

多文化共生センター東京 スタッフの皆さん

東洋大学 SPIRIT 学生ボランティアの皆さん

NPO COMPASSメンバー

 

皆さん、お忙しい中ご参加いただきありがとうございました。       栖原曉基金実行委員会